質の良い睡眠がもたらす科学的な効果

睡眠の科学

むかしから健康の秘訣は食事、睡眠、運動というのは、おばあちゃんから口をすっぱくして言われてたことですけど、守れているかというとできていなもの。

質の良い睡眠の研究は今アメリカの研究機関などでけっこう進んでいるんですね。

今回は、眠る投資~ハーバードが教える世界最高の睡眠法~という書籍をもとに睡眠の科学についてさらっとまとめてみます。

日本人は睡眠時間がもっとも少ない

日本人は働きすぎってよくいわれますよね。

長時間労働やスマートフォンが普及して、今、僕たちの睡眠時間がヤバいくらいに減っていて質の良い睡眠どころじゃないんです。

OECD(経済開発協力機構)の調査によると、日本人の睡眠など生命を守るのに必要な時間が世界でもっとも短いってことが分かってます。

 stats.oecd.org

一方で、日本は労働時間がやたらと長く、労働生産性は先進国の中でも低いとも言われています。

働き方の問題もよく言われますよね。

日本はむかしのCMにあった「24時間働けますか?」のキャッチコピーのように、とにかくたくさん働くことが良し!っていう風潮があったりします。最近はそこを問題視する声もよく聞きますけど。

僕は前の職場がIT企業で典型的な長時間労働アタリマエのところだったんですけど、毎日終電まで働いて1時間以上かけて電車に乗って家に帰る生活をしていました。

家に着いたころには、日付が変わっていて、帰宅してから晩飯を食べて、その後テレビ見ながらゴロゴロして寝るっていう、今思うとメチャクチャ不健康な生活をしていたわけです。

昼間は眠いので集中力もやる気も起きなくて、満員電車はただでさえストレスなので二重苦の状態ですね。体も疲れてだるくなるので、運動なんてする気になるわけがありません。

で、その生活が長引くと当然、質の良い睡眠どころではなく体調を崩すわけで。それも今思うと、当然のことだったんですね。

また最近では、コロナウィルスの緊急事態宣言によって自宅で仕事する人も増えて、仕事とプライベートの区別がなくなって、どこまでも仕事ができてしまう環境になってたりします。これも質の良い睡眠をさまたげていて、「コロナうつ」を引き起こす原因だったりします。

睡眠不足がもたらすもの

睡眠が足りてなかったり質が低いと、昼間の集中力が下がることってありますよね。

うつやストレスで幸せホルモンと呼ばれているセロトニンが消費されてしまうのは有名は話。

脳科学ではこの分野の研究がさらに進んでおりまして、

分かっているところでいうと、セロトニンが消費されてしまうと、睡眠を促すメラトニンが不足してしまうんですね。んでその結果、睡眠の質が下がって体とこころが不調になる、っていう負のスパイラルになるわけです。

研究によると、なんでも睡眠不足はほろ酔いと同じくらい脳の作業効率が落ちるんだそうな。6時間睡眠を1週間続けた人は、ひと晩、徹夜したのと同じくらいの脳機能レベルに下がるってことが分かっています。

寝不足で自動車を運転するのはお酒飲んで運転しているのと同じくらいの危険があるってことですね。オソロシヤ。

今ちまたで言われている「コロナうつ」も生活の乱れによる、睡眠の質低下が原因じゃないかって説もあります。生活の仕方が変わって、寝る時間、起きる時間がずれたり過不足になると、質が下がってセロトニンが減ってるんですね。

3つの脳ネットワーク

で、さらに分かってることとしては、

これまでは「脳のこの部分はこの機能、この部分はこの機能」ってかんじで、独立した一つ一つの部位で考えるのがふつうでした。前頭葉とか海馬とか偏桃体とか名前を聞いたことがあるかもしれませんが、アレです。

最近では、そこからもう一歩進んで、「それぞれの部位をつないでどう働くか」っていうネットワークの考え方が進んでおります。

具体的には、以下の3つのネットワークがあって、

  • CEN(Central Executive Network)
  • DMN(Default Mode Network)
  • SN(Salience Network)

CENは計画を立てたり、集中したりするとき活性化するネットワーク、
DMNは、ぼーっとしてるときに記憶を整理したり、ひらめいたりするときに使われるところ。
SNはCENとDMNをコントロールする司令塔的なヤツですね。

で、問題なのは、うつになるとDMNが活発になってぐるぐると同じネガティブなことを考え続けちゃうことだそうです。

DMNが活性化しすぎちゃうと、CENが弱くなってSN(疲れたとか眠いとかの体からの指令)が大脳皮質に伝わりやすくなって、うつが悪化するということなんですね。

そうすると、質の良い睡眠もとれなくなってしまいます。

睡眠は最高の自己投資

このネットワーク不調を整えるのに、これまでは日本では、薬物療法やカウンセリングが主でした。

アメリカではTMS(経頭蓋磁気刺激)治療という、うつ病を脳を磁気で刺激して治しちゃおう、という治療法が確立しております。脳に機械を当てるので、見た目はアレですけど物理的に治しちゃおうという画期的なシステムですね。日本でも2019年にようやく保険診療化されました。

で、TMS治療と同じように脳ネットワークを調整しちゃおうということが、質の良い睡眠ということなんですね。

薬物療法にしてもTMS治療にしてもカウンセリングにしても、一時的に症状が治まっても、元の生活に戻ったらうつが再発するってことはおおいにあるわけです。

なので、根本治療として良質な睡眠というが大事になってくるんですね。

夜に質の良い睡眠をとるためには、起きている時間にどんな行動をするかってところがポイントでして、その時間の使い方で脳のパフォーマンスが段違いになるんです。

注目すべきは、うつや不安障害の改善と、健康な人の脳のパフォーマンスをさらに上げる方法は同じってところです。メンタルに良いことは病気治療だけじゃなく、人格や頭まで良くしちゃうことなんですね。

まとめ

ってなわけで、睡眠不足の問題と質の良い睡眠を取る効果についてまとめてみました。

「24時間働けますか?」ではなくて「8時間働いて24時間以上のパフォーマンスを上げるにはどうしたらいいか」を考えた方がお得ってことですね。

最後までお読みいただきありがとうございました。

だいがだいが

だいが

米国催眠士協会認定(NGH)ヒプノセラピスト。 あがり症克服や目標達成サポートをメインに活動中。最新の脳科学や心理学の知見をもとに、問題解決アプローチを行なっている。

関連記事

最近の記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA


TOP