- 自分を知る力とはなにか
- 自分を知るとなにが良いのか
新年の目標はもう立てましたか?
目標を立てるとき、自分を知る力があるかどうかで大きく結果が変わってくると言われています。
そこで、自分を知ると変わる3つの良いことを心理学的に解説していきたいと思います。
自分を知る力とは?
「自分を知る」といったとき、二つの見方があると思います。
組織心理学者のターシャ・ユーリック博士によると、「自分を知る力」には2つあるそうです。
- 自分から見える自分を知る(内的な自己認識)
- 他人から見える自分を知る(外的な自己認識)
自分の強みは〇〇なところ(例 根性がある)
自分の弱みは××なところ(例 気が短い)
人からよく「△△だね」と言われる(例 怒ってないのにいつも不機嫌そうに見られる)
こういったことは多くの人がなんとなく気づいていると思います。
僕たちはふだん自分はこんな人間だというのは分かっているつもりです。
ただ、自分が人生で一番大切にしているものは何か、と問われると即答するのは案外むずかしいです。
家族、友人、仕事、自分の時間、お金、趣味、人の役に立つことなど、人それぞれだと思いますが、
では、なぜそれが大切かと言われるとなかなか答えられません。
人が直感で大切だ、と思うときにはだいたいその先に何かがあります。
つまり、
人生で一番大切なコト = それ以上何にも交換できないもの
ということです。
こういった、本当に自分が人生で大切にしたいことに気づく力を「自分から見える自分を知る力」だと言えるでしょう。
また、周りから見える自分は人は分かっていないことが想像以上に多いと言われています。
サンフランシスコで働くエンジニア約1000人を対象にした調査では、33%以上の人が自分のパフォーマンスを上位5%に入っていると答えたという結果が出ています。
また、大学教授を対象にした調査では、94%もの対象者が、自分の仕事ぶりを平均以上と答えたそうです。
社会心理学者のデイヴィッド・ダニング教授らの研究によって、能力のない人ほど自分の能力を実際より高く見積もる現象は「ダニング=クルーガー効果」と呼ばれています。
客観的に周りから見た自分を知る力のことを「他人から見える自分を知る力」だと言えます。
自分を知る力があるとなにが良いのか
では、自分を知る力があるとなにが良いのでしょうか?
正しい判断をすることができる
スタンフォード大学の研究によると、他のことに気を取られていると、人は誘惑に負けやすいという結果が出ています。
学生に知人の電話番号を思い出しながらデザートを選んでもらうと、体に良いフルーツではなく、誘惑の高いチョコレートケーキを選ぶ確率が50%も高くなったそうです。
自分を知る力を高める方法の中にマインドフルネスという考え方があります。
マインドフルネスとは、
「判断を下したり、反応したりすることなく、ただ自分の思考、感情、行動に気づくこと」
—『insight(インサイト)――いまの自分を正しく知り、仕事と人生を劇的に変える自己認識の力』ターシャ・ユーリック, 中竹竜二著
反対に、目の前のことに集中するのではなく、いろいろなことを同時に考えてしまう状態をマインドレスネスといいます。
人の1日の行動は、ほとんどの無意識で選択していると言われているため、マルチタスク(同時にいろいろなことを考える)状態だと無意識下では自己認識力も低くなります。
特に現代では、スマートフォンの普及でSNSやゲーム、ネットサーフィンなど情報の嵐の中に僕たちはいます。
そのため、自分を知る力を高めることで、目先のことにとらわれず、本来自分が望む正しい判断ができるようになるのです。
視野が広がる
精神分析学の父といわれるジークムント・フロイトは、人の無意識を分析することで人間の本質的な思考や感情を知ることができると考えました。
この考えが一般に知られるようになり、自分の中に眠る、唯一の真実を見つけようとする内省が行われるようになりました。
ところが、最近の科学ではこれには否定的です。
人の本質は一言で言い表せるものではなく、いくつもの側面を持っているという考え方です。そもそも、人がどのような状況で、どんなことを感じ、どう振る舞うかは、そんなシンプルではありませんよね。
また、自分の中に真実を求めることが、不安やうつをより強める反芻(はんすう)に陥ることになると言われています。
マインドフルネスによって、自分が置かれている状況を正しく見ることで、新しい視点でものごとを見ることができるようになります。
他者と良好な関係を築ける
先ほどのユーリック博士は、いくつかの研究によって、自分から見た自分を知ること(内的な自己認識)と他人から見た自分を知ること(外的な自己認識)には相関がないという結論を出しました。
つまり、
自分についていくら考えても、他人から見える自分を知ることはできない
ということです。
ユーリック博士によると、
意外なことに、キャリアを積んだ重役クラスや経験豊富なリーダーのほうが、経験の少ない人にくらべて自分の共感力や協調性、コーチング力を実際よりも大きく見積もる傾向にあるといいます。
キャリアを積み経験豊富になれば、僕たちは自己認識力が上がりそうにも見えますが、
逆に経験を積むことでフィードバック(他者からの評価)をうける機会が減って、
「思い込み」にとらわれやすくなってしまうのです。
これは会社だけでなく、家庭においても同じような問題を引き起こすことになっています。
自信過剰は子育てにも悪影響があると言われています。
外から見た自分を知ることで、他者と良好な関係を築くことができるようになるのです。
人を動かす力を得ることができる
フォード社の元CEOアラン・ムラーリーは、自分を知る力を高めて低迷していた同社を奇跡的に復活させたことで知られています。
Google、マッキンゼー、ナイキなどの有名企業でも自分を知る力を高めるために、マインドフルネスを取り入れています。
アンジェリーナ・ジョリーといったハリウッド俳優やイチローなどトップアスリートの間でも広がり、世間に知られるようになりました。日本でもトヨタやヤフー、リクルートといった企業が取り入れています。
さきほど、「自分についていくら考えても、他人から見える自分を知ることはできない」と話しましたが、それにもかかわらず、僕たちが自己認識について語るのは、たいてい「あの人って自分のことが見えてないよねー」という文脈が多いと思います。
この言葉の裏にあるものは、
「(あの人とは違って)私は自分のことがよく分かっている」
という心理です。
僕たちは、他人の自己認識の低さは責めるのに、自分の自己認識が足りているかを自問することは意外と少ないんです。
ユーリック博士によると、内的自己認識と外的自己認識は逆相関するという研究結果もあるようです。(自分について考えるほど他者から見た自分が見えなくなる)
博士は、自分を知る力が高い人ほど、公僕で良い関係を築き、学校、仕事の成績も良く、クリエイティビティが高く、人格的にも温厚で誠実な人が多いと言っています。
成果を出している経営者やリーダーは、この自分を知る力を持っているそうです。
まとめ
いかがだったでしょうか?
自分を知る力があると良いことが3つありました。
1.本当に大切なことに気づき迷いがなくなる。余計なことに振り回されず、そこにすべてを注力できる
2.外から見た自分を知ることで、多角的に自分を理解し、他者とより良い関係を築いて力を発揮できる
3.人を動かして状況を変える大きな原動力となる
新年の目標を立てる際に、まずは自分を知るところからはじめてみても良いんじゃないでしょうか。
最新の科学研究をもとにした自分を知るための方法をnoteに書きましたので、ぜひこちらもチェックしてみてください。
「Insight」さっそく読んでみたいと思います。
マインドフルネス、とても分かりやすく解説してくださいました。
“自分を知ると変わる3つのよいこと” を信じてトライしてみます。
中山さん、コメントありがとうございます!
マインドフルネスの具体的な方法をまとめてみますね。
Insightもオススメの書籍なのでぜひ読んでみてくださいね。